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相続税改正はどうなったのか

平成23年度税制改正で立案された相続税の増税案(相続税の基礎控除の引下げや税率後続の見直しはどうなったのか。結論から言えば、相続税の増税は、先送りにされ、どのようになるか現在は不明である。

それでは、相続税抜本改革の議論を時系列的に見ていきたい。

 

平成24年4月初旬に相続税改正を含む「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」が政府から公表された。内容は以下のとおりである。

 

1 趣旨

この法律は、世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築することにより支え合う社会を回復することが我が国が直面する重要な課題であることに鑑み、社会保障制度の改革とともに不断に行政改革を推進することに一段と注力しつつ経済状況を好転させることを条件として行う税制の抜本的な改革の一環として、社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から消費税の使途の明確化及び税率の引上げを行うとともに、所得、消費及び資産にわたる税体系全体の再分配機能を回復しつつ、世代間の早期の資産移転を促進する観点から所得税の最高税率の引上げ及び相続税の基礎控除の引下げ並びに相続時精算課税制度の拡充を行うため、消費税法、所得税法、相続税法及び租税特別措置法の一部を改正するとともに、その他の税制の抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置について定めるものとする。

 

平成24年4月のこの法律案では、相続税の改正は以下のようだった。

 

相続税法の一部改正(第5条)

○相続税の基礎控除の引下げ(「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」⇒「3,000万円+600万円×法定相続人数」)

○相続税の税率構造の見直し(最高税率を50%⇒55%に引上げ)

○相続時精算課税制度に係る贈与者の年齢引下げ(65歳⇒60歳)

(注)平成27年1月1日以後に取得する財産に係る相続税、贈与税について適用

4 資産課税については、次に定めるとおり検討すること。

イ 事業承継税制について、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に基づく認定の運用状況等を踏まえ、その活用を促進するための方策や課税の一層の適正化を図る措置について検討を行い、第5条の規定の施行に併せて見直しを行う。

ロ 相続税について、老後における扶養の社会化が高齢者の資産の維持に寄与している面もあることも踏まえ、課税方式を始めとした様々な角度から引き続きその在り方を検討する。

平成24年6月26日、第180回国会における財務省関連法律として、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案」が衆議院に提出され、相続税の改正等が法律案から削除された。

その修正の内容を抜粋すると、

「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案の一部を次のように修正する。

題名中「消費税法等」を「消費税法」に改める。 第一条中「により支え合う社会を回復することが我が国が」を「が我が国の」に改め、「を行うとともに、所得、消費及び資産にわたる税体系全体の再分配機能を回復しつつ、世代間の早期の資産移転を促進する観点から所得税の最高税率の引上げ及び相続税の基礎控除の引下げ並びに相続時精算課税制度の拡充」及び「、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)及び租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)」を削る。」

このように「相続税の基礎控除の引下げ並びに相続時精算課税制度の拡充」は原案から削られ、第二一条で、平成24年度中に必要な措置を講じるとされた。

(資産課税に係る措置)
第二十一条 資産課税については、格差の固定化の防止、老後における扶養の社会化の進展への対処等の観点からの相続税の課税ベース、税率構造等の見直し及び高齢者が保有する資産の若年世代への早期移転を促し、消費拡大を通じた経済活性化を図る観点からの贈与税の見直しについて検討を加え、その結果に基づき、平成二十四年度中に必要な法制上の措置を講ずる。

以上のような経緯で相続税の基礎控除の引下げなどの改正案はなくなったが、政府・財務省は平成25年度税制改正で改正をおこなうか、平成25年度3月末までに改正案をまとめるようだ。

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