贈与税の基本の基本 その7 住宅取得資金の非課税の特例
【概要】 平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に20歳以上(贈与の年の1月1日現在)の者がその直系尊属である者(父母や祖父母)から受ける自らの居住用家屋の取得に充てるための金銭の贈与については、その期間を通じて平成21年については500万円、平成22年については1,500万円、平成23年については1,000万円まで贈与税が課されません。
ただし、平成22年から受贈者の所得制限があり、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下でなければこの非課税の適用を受けることができません。
(1)適用対象となる贈与者、受贈者
贈与者…この特例は、贈与者は受贈者の直系尊属となっていますので、父母のほか、祖父母や曾祖父母からの贈与も対象となります。しかし、あくまでも直系ですので、義理の父や母は対象になりませんので注意が必要です。
受贈者…その年の1月1日現在で20歳以上であり、贈与者の直系卑属となっていますので、子や孫が対象となります。これも、直系ですので、子や孫の配偶者に対する贈与は対象になりません。
平成22年、23年については所得制限があり、合計所得金額が2,000万円以下の者が適用対象となります。
【暦年課税、相続時精算課税との関係】
この特例は、暦年課税又は相続時精算課税の従来の非課税枠にあわせていずれかと適用することができます。
つまり、暦年課税では、平成23年分で1,000万円+110万円=1,110万円までが非課税となります。相続時精算課税との併用では、平成23年分ですと、2,500万円+1,000万円=3,500万円までが非課税枠となります。
父母双方及び祖父母双方からの贈与についても対象とすることができますが、例えば平成23年分では合計1,000万円が上限となります。つまり1,000万円の枠は資金をもらう受贈者から見た枠となります。
(2)住宅取得資金とは
j住宅取得資金とは、次のいずれかに掲げる新築、取得又は増改築等(受贈者の配偶者その他の受贈者と特別の関係がある者から取得又は増改築等をする場合を除きます。)の対価に充てるための金銭をいいます。
- 住宅用家屋の新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得
- 中古住宅用家屋の取得
- 住宅用家屋の増改築等
上記の場合、家屋等ともに取得するその敷地の用に供されている土地等を含みます。
4. 住宅の新築等に先行してその敷地の用に供された土地等の取得
(3)適用対象となる住宅用家屋等の範囲
この非課税特例の適用対象となる住宅用家屋等の範囲は、相続時精算課税制度の住宅取得等資金の特例と同様です。
(4)入居要件
この非課税特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその取得した住宅に居住しなければなりません。3月15日までに建物が完成していない場合には、遅滞なく居住することが確実であると見込まれる時には適用を受けることができます。贈与を受けた年の翌年12月31日までに入居できない場合には、非課税特例の適用がなくなり、修正申告をして贈与税を納めなければなりませんのでご注意下さい。
(5)適用を受けるための手続
この非課税特例の適用を受けるには、贈与税の申告書にこの特例の適用を記載し、一定の添付書類(相続時精算課税の住宅取得等資金の特例で必要とされる書類と同じ)を添付して、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに住所地の所轄税務署に提出する必要がありいます。
税理士法人TACS 代表社員・税理士 木村 聡 http://i-tacs.jp/
岩見沢市5条東2丁目2番地17
この記事は平成23年3月31日現在の税法に基づいて作成されています。
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