生命保険金と相続
生命保険金と相続
相続税の対象になる死亡保険金は、被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象になります。
この死亡保険金の受取人が相続人(相続放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、相続税の対象となる生命保険金については、次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象となります。
その金額は、500万円×法定相続人の数=非課税限度額
◆ 法定相続人には相続放棄した人も含まれます。相続放棄した人が死亡保険金受取人
の場合は死亡保険金を受け取ることはできますが、この非課税枠を利用することはできません。
◆ また、被相続人に養子がいるとき、
・実子がいる場合は、養子は1人まで法定相続人として認められます。
・実子がいない場合は、養子は2人まで法定相続人として認められます。
・但し、特別養子(6歳未満までの養子が戸籍上も実親との親子関係を断ち切り、養ってくれる親(養 親) とだけ法律上親子関係が形成されているもの。)の場合は、実子と同等に扱われます。
【設例】 相続人が妻、実子2人、養子2人の場合
妻と実子2人、養子1人が法定相続人となり、合計4人となります。 よって、 非課税枠=500万円×4人=2,000万円となります。 |
※ 死亡生命保険金での法定相続人というのは、あくまでも相続税法上の非課税枠を計算するものであって民法上では実子も養子も全て法定相続人になります。
(契約者貸付金等がある場合の保険金)
保険契約に基づき保険金が支払われる場合、当該保険契約者に対する貸付金若しくは未払込保険料の額(「契約者貸付金等の額」という。)があるため、当該保険金の額から当該契約者貸付金等の額が控除されるときの適用については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次によります。
(1)被相続人が保険契約者である場合
保険受取人は、当該契約者貸付金等の額を控除した金額に相当する保険金を取得したものとし、契約者貸付金等の額に相当する債務はいずれもなかったものとする。
(2)被相続人以外の者が保険契約者である場合
保険受取人は、当該契約者貸付金等の額を控除した金額に相当する保険金を取得したものとし、契約者貸付金等の額に相当する部分については、保険契約者が保険金を取得したものとする。
【設例】
被 保 険 者 甲(父) 保 険 契 約 者 甲 保 険 料 負 担 者 甲 保 険 金 受 取 人 乙(子) 保 険 金 額 満期時 300万円 死亡時 3,000万円 契約者貸付金の額 200万円(保険事故発生時の元利合計金額) Ⅰ 被保険者 甲が死亡した場合 Ⅱ 満期保険金が支払われる場合 |
Ⅰ 被保険者甲が死亡した場合
1 乙が甲から相続によって取得したものとみなされる保険金
契約者貸
付金の額(※1)
3,000万円 - 200万円(※1) = 2,800万円
2 契約者貸付金の額に相当する部分の保険金及び契約者貸付金の額に相当する債務(いずれも200万円)はともになかったものとなります。
Ⅱ 満期保険金が支払われる場合
1 乙が甲から贈与によって取得したものとみなされる保険金は、
契約者貸
付金の額(※2)
300万円 - 200万円(※2) = 100万円
2 甲の所得税(一時所得)の対象となる保険金は200万円(契約者貸付金部分の額)となります。
*ご質問等ございましたら当センターにお寄せ下さい。
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