贈与税の基本の基本 その3
今回は贈与税の課税方法のうち、『暦年課税』について勉強しましょう。
『暦年課税』は1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に贈与税額を計算します。
この課税方法は1947年第二次大戦後すぐに創設された税で「相続税を補完する」役割を持っていると言われています。
『暦年課税』はその年1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の価額の合計額(これを課税価格と言います。)から基礎控除額110万円を差し引いた残額(基礎控除後の課税価格)について、次の速算表により贈与税額を計算します。
計算式 (課税価格-110万円)×税率-控除額=贈与税額
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% |
125万円 |
1,000万円超 | 50% | 225万円 |
計算例で計算の方法を確認してみてください。
◎計算例1 200万円の贈与を受けた場合の贈与税
(200万円-110万円)×10%-0=9万円
◎計算例2 600万円の贈与を受けた場合の贈与税
(600万円-110万円)×30%-65万円=82万円
◎計算例3 1,500万円の贈与を受けた場合の贈与税
(1,500万円-110万円)×50%-225万円=470万円
このように計算していくのですが、贈与を受けた財産の価額の1年間の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。申告の必要もありません。
逆に基礎控除110万円を差し引いて後で課税価格が1,000万円を超えていれば、50%の非常に高い税率となり、贈与税額もとても大きくなりますので、高額な財産の贈与の場合には注意が必要になります。あらかじめ、贈与税がどれだけになるかを計算して、贈与をするかどうかを判断してください。
贈与税の基礎控除は110万円です。この控除額は平成13年度税制改正で60万円から110万円に引き上げられました。改正後10年ほど経ちましたので少なくはなりましたが、高齢の方の中には、いまだに60万円だったと思っている方が時々います。
これらの贈与税の計算をする場合の課税価格は『時価』で計算します。
現金や預金ですと、その金額がそのまま『時価』となりますが、土地建物の不動産、株式のような有価証券など現金・預金以外の財産の『時価』については相続税財産評価通達という通達の規定により評価していきます。この税の評価方法についてはこれからのブログで少しずつ解説したいと思います。
次回のテーマは『相続時精算課税』です。
税理士法人TACS 代表社員・税理士 木村 聡 http://i-tacs.jp/
この記事は平成23年3月31日現在の税法によっています。
新着情報
- 2018.08.30
- 事業承継税制と株式の担保提供
- 2018.08.01
- 特例事業承継税制
- 2018.05.25
- 生命保険契約に関する権利
- 2018.05.01
- 保険金と税金《その2》
- 2017.10.11
- 保険金と税金《その1》
- 2017.07.12
- 法定相続情報証明制度
- 2017.06.05
- 国外財産に係る相続税・贈与税の納税義務の見直し
- 2017.03.31
- 贈与したはずが相続財産に!?
- 2016.12.19
- 『結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置』
- 2016.10.07
- みなし相続財産とは?