税制改正

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令和2年度

令和2年度税制改正の大綱のポイント

〈配偶者居住権等を設定した建物等を譲渡等した場合の課税所得の計算〉

 民法改正により配偶者居住権が創設され、平成31年(令和元年)度税制改正において、その評価方法が規定されました。
 配偶者は、配偶者居住権及び配偶者敷地利用権(以後「配偶者居住権等」と表示)自体を譲渡することはできませんが、その配偶者居住権等を合意解除や放棄をしたことにより当該権利が①消滅した場合や、その配偶者居住権等を設定した建物等(以後「居住建物等」と表示)を取得した相続人が、その権利の消滅前に当該居住建物等を②譲渡した場合における譲渡所得に係る取得費の計算方法が、令和2年度税制改正で明らかにされました。

①消滅のケース

 配偶者居住権等を有する配偶者が、当該権利が消滅したときにその対価の支払いを受ける金額がある場合の取得費の取り扱い。
【計算式】 居住建物等の取得費(注1)×配偶者居住権割合-減価の額(注2)
 (注1)被相続人から引き継いだ取得費-取得時から居住権等設定時までの減価の額    
 (注2)居住権等設定時から消滅時までの期間にかかる減価の額

【具体例】 相続人は配偶者と子1人。
配偶者が老人ホームへ入居するため、子と話し合いの結果、配偶者居住権等を合意解除することになりました。
計算にあたり、前提条件は次の通りです。
  居住建物等の取得費  5,000万円
(取得時から居住権設定時までの減価の額は減算済)
  配偶者居住権割合   50%
  配偶者居住権設定時から消滅等の時までの減価の額 2,000万円
  取得費:5,000万円×50%-2,000万円=500万円

②譲渡のケース

 居住建物等を取得した相続人が、配偶者居住権等の消滅前に当該建物等を譲渡した場合の取得費の取り扱い。
【計算式】
  居住用建物の取得費(注3)-配偶者居住権等の取得費
   (注3)被相続人から引き継いだ取得費-取得時から譲渡時までの減価の額
   ※配偶者居住権等の取得費は、①消滅のケースと同じ計算方法です。
【具体例】
 居住建物等の取得費 6,000万円
 当該建物取得時から譲渡時までの減価の額  3,000万円
 配偶者居住権等の取得費  500万円
 取得費:6,000万円-3,000万円-500万円=2,500万円

<原文>
 配偶者居住権及び配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等を配偶者居住権に基づき使用する権利(以下「配偶者敷地利用権」という。)について、次の措置を講ずる。

①配偶者居住権又は配偶者敷地利用権が消滅等をし、その消滅等の対価として支払を受ける金額に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、配偶者居住権の目的となっている建物又はその建物の敷地の用に供される土地等(以下「居住建物等」という。)についてその被相続人に係る居住建物等の取得費に配偶者居住権等割合を乗じて計算した金額から、その配偶者居住権の設定から消滅等までの期間に係る減価の額を控除した金額とする。

(注1)
 上記の居住建物等のうち建物の取得費については、その取得の日からその設定の日までの期間に係る減価の額を控除することとする。
(注2)
 上記の「配偶者居住権等割合」とは、その配偶者居住権の設定の時における配偶者居住権又は配偶者敷地利用権の価額に相当する金額の居住建物等の価額に相当する金額に対する割合をいう。

②相続により居住建物等を取得した相続人が、配偶者居住権及び配偶者敷地利用権が消滅する前に当該居住建物等を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、その居住建物等の取得費から配偶者居住権又は配偶者敷地利用権の取得費を控除した金額とする。
(注)
 上記の居住建物等のうち建物の取得費についてはその取得の日から譲渡の日までの期間に係る減価の額を控除することとし、上記の配偶者居住権又は配偶者敷地利用権の取得費についてはその配偶者居住権の設定の日から譲渡の日までの期間に係る減価の額を控除することとする。

「令和2度税制改正の大綱」(財務省)

原文については、以下のリンクからご確認ください。

https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2020/02taikou_01.htm


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